引っ越しに伴う準備は、役所の手続き、ライフラインの手配、荷造り、今の部屋の退去処理など、やることが一気に押し寄せてきます。これらを計画性なしに後回しにしていると、入居当日に電気が通っていない、Wi-Fiが繋がらない、役所の手続き漏れで何度も足を運ぶことになるといった、慌ただしいスタートになってしまいがちです。特に3月や4月の引っ越し繁忙期は、たった1日の手配の遅れが、希望通りのスケジュールを難しくしてしまうこともあります。
入居日までの準備をスムーズに進めるコツは、やるべきことを「いつまでにやるか」というタイムリミットごとに分けて、順番に片付けていくことです。この記事では、契約完了から入居当日までにやっておきたいことを、1ヶ月前・2週間前・1週間前・前日当日という流れに沿って紹介します。
入居1ヶ月前までにやっておきたいこと

新居の契約が決まったら、まずは全体のスケジュールと予算の骨組みを固めておきましょう。この時期にどれだけ早く動けるかが、引っ越し費用の総額にも影響してきます。
もし今も賃貸物件に住んでいるなら、まず取りかかりたいのが現在の住居への解約通知です。多くの賃貸契約書には、退去の1ヶ月前、物件によっては2ヶ月前までに解約の意思を伝える必要がある解約予告期間が定められています。連絡が遅れると、新居と旧居の家賃を同時に支払う二重家賃が発生してしまうため、契約書の内容をすぐに確認して早めに解約届を提出しておきましょう。
引っ越し業者の選定も早めに進めておきたい作業です。1社だけに任せてしまうのではなく、最低でも3社程度から見積もりを取って、料金やサービス内容を比べてみることをおすすめします。他社の見積もりを引き合いに出すことで、料金交渉がしやすくなることもあります。あわせて、新居の間取り図を見ながら家具の配置をイメージし、大型の家具や家電を新しく購入する場合は、玄関の幅やエレベーターのサイズを事前に測っておくと、搬入できずに困るという事態を避けられます。
入居2週間前までにやっておきたいこと
このタイミングでは、役所での手続きと、電気・ガス・水道・インターネットといったライフラインの手配を進めていきます。
異なる市区町村へ引っ越す場合は、引っ越しのおよそ14日前から役所で転出届を受け付けてもらえます。手続き後に発行される転出証明書は、新居の役所で住民票を登録する際に必要になるため、忘れずに手元に残しておきましょう。マイナンバーカードがあれば、オンラインで手続きを進めることもできます。同じ市区町村内での引っ越しであれば、転出届は不要で、入居後の転居届だけで済みます。
電気と水道は、事前の申請だけで当日に自動的に使えるようになることがほとんどですが、ガスだけは安全確認のため、入居当日に作業員の立ち会いが法律で義務付けられています。引っ越しシーズンは立ち会いの予約が埋まりやすいため、このタイミングでしっかり押さえておくと安心です。インターネット回線についても、工事が必要な場合は申し込みから完了まで1〜2ヶ月ほどかかることもあるため、早めに管理会社へ工事の許可を取り、業者への予約を済ませておきましょう。
タイムライン別のやることを一覧で確認する
やるべきことが多く混乱しやすいため、契約後から入居当日までの全タスクを一覧表に整理しました。終わったものからチェックを入れて管理してください。
| 時期 | 行うべきタスク | 注意点・アドバイス |
|---|---|---|
| 入居1ヶ月前まで | 現在の住居の解約予告 | 契約書の解約予告期間(1〜2ヶ月前)を厳守する |
| 入居1ヶ月前まで | 引っ越し業者の相見積もりと予約 | 最低3社から見積もりを取り比較交渉する |
| 入居1ヶ月前まで | 大型家具・家電の購入と配送日指定 | 搬入経路のサイズを事前に測る |
| 入居2週間前まで | 転出届の提出(異なる市区町村の場合) | マイナンバーカードでのオンライン申請も検討 |
| 入居2週間前まで | 電気・水道・ガスの停止と開始手続き | ガスの立ち会い予約は最優先で確保する |
| 入居2週間前まで | インターネット回線の移設・新規開通 | 工事が必要な場合は空き状況をすぐ確認 |
| 入居2週間前まで | 固定電話・新聞・NHKなどの住所変更 | WEBのマイページから一括で行うと効率的 |
| 入居1週間前まで | 郵便物の転送届の提出 | 反映まで数日かかるため早めに提出する |
| 入居1週間前まで | 銀行口座・クレジットカードの住所変更 | 各金融機関のマイページから登録変更 |
| 入居1週間前まで | 本格的な荷造り | 普段使わない季節物や本から詰めていく |
| 入居1週間前まで | 旧居の粗大ゴミの処分手配 | 自治体の回収は予約制のため早めに動く |
| 入居前日・当日 | 冷蔵庫・洗濯機の水抜き | 前日までに中身を空にし電源を抜いておく |
| 入居前日・当日 | 新居の鍵の受け取り | 契約書類や印鑑、身分証明書を持参する |
| 入居前日・当日 | 入居前の傷・汚れの撮影 | 荷物を運び込む前のまっさらな状態で撮る |
| 入居前日・当日 | 近隣住民への挨拶回り | 作業音が響く前に済ませておく |
入居1週間前までにやっておきたいこと
入居まで残り1週間になると、いよいよ実務的な作業が本格化してきます。まず、郵便局への転送届は早めに済ませておきたい手続きのひとつです。旧居宛ての郵便物を1年間無料で新居に転送してくれる便利なサービスですが、提出してから実際に転送が始まるまで3日から1週間ほどかかるため、当日ではなく1週間前には手続きを終えておくと安心です。
荷造りは、普段まったく使わない季節外れの服や本、過去の書類などから順番に詰めていくと、生活に支障が出にくくなります。ダンボールの側面や上面に、中身と新居のどの部屋に運ぶかを書いておくと、引っ越し業者が当日にその場所へ直接運んでくれるため、荷解きがぐっと楽になります。あわせて、荷造りの過程で出てきた粗大ゴミの処分も早めに動いておきましょう。自治体の粗大ゴミ回収は予約制のことが多く、直前だと枠が埋まっていることがよくあります。
入居前日・当日にやっておきたいこと
いよいよ入居の日を迎えます。まず、冷蔵庫は電源を切ると背面の霜が溶けて水が溜まるため、前日までに水抜きを済ませておきましょう。移動中の振動で水漏れが起きると、他の荷物や家電を傷める原因になります。洗濯機のホース内の水抜きも同様に、前日までに終えておくと安心です。
新居の鍵は、契約した不動産会社の店舗で受け取ることになります。受領印や本人確認書類の提示を求められることがあるため、指定された持ち物を忘れずに用意しておきましょう。そして、荷物を運び込む前の、部屋がまっさらな状態のタイミングで、フローリングの傷や壁紙の剥がれ、キッチンの汚れなどを日付が分かる形でスマートフォンに残しておくことをおすすめします。この記録があるだけで、退去時に「入居中につけた傷だから」と根拠のない請求を受けるリスクを減らせます。
搬入が始まる前後の明るい時間帯には、近隣への挨拶も済ませておきましょう。集合住宅であれば自分の部屋の両隣と真上・真下の部屋、一戸建てであれば向こう三軒両隣が目安です。一言伝えておくだけで、その後の関係が驚くほど変わることがあります。
荷解き前にやっておくとよいこと

家具を運び込んでしまうと手をつけにくくなる場所があるため、まっさらな状態のうちに済ませておくと、後の暮らしがかなり楽になります。家具や洋服がまだ何も置かれていない段階で、窓や換気口を閉め切って市販の燻煙式殺虫剤を使っておくと、部屋の隅々まで薬剤が行き渡りやすくなります。使用後はしっかり換気をして、床を掃除機で掃除してから荷物を運び込みましょう。
お風呂場にも、荷物を置く前に防カビ用の燻煙剤をかけておくと、しばらくの間カビの発生を抑えやすくなります。コンロ周りや洗面台のパッキンなど、汚れが溜まりやすい溝にはマスキングテープを貼っておくと、汚れたらテープを貼り替えるだけで掃除が済むようになります。また、エアコンの室外機につながるドレンホースは、害虫の侵入経路になることがあるため、先端に防虫キャップを取り付けておくと、排水の機能を妨げずに虫の侵入を防ぐことができます。
まとめ

引っ越しの準備は、やるべきことの量が多いため、行き当たりばったりで進めると手配漏れが起きやすくなります。1ヶ月前までに解約予告と業者の見積もりを済ませ、2週間前までに役所の手続きとライフラインの開通手配を、1週間前までに転送届と荷造りを進めておく。そして入居当日は、部屋がまっさらな状態のうちに傷や汚れを記録し、近隣への挨拶も忘れずに。
今回紹介したタイムラインに沿って、一つずつ先回りして片付けていけば、引っ越しは思っているより落ち着いて進められるはずです。新生活の初日、気持ちの良いスタートを切るための参考にしてみてください。
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